2007/10/14

市内でラッピングバスを見る傍ら、映画を見てきました~。
大学の某先生を映画館で見かけた気がしますが気にしない。
(ちなみにバイオの先生ね)

で、観にいってきたのは前々から言っていた「パンズ・ラビリンス」
ガチで一人映画鑑賞をしました。

映画にも二種類合って、「人と見たい映画」と「一人で見たい映画」
ってありません?
ヱヴァなんて終わってから語れる要素が満載だから
一緒に観た方が楽しめると思うんですけどね。
今回の判断は正しかったかな、と。

「パンズ・ラビリンス」は簡単に言ってしまえば「不思議の国のアリス」です。
なのでパンフレットにもあったように、台詞が無くても物語が分かる
ストーリーの簡単っぷりが光っています。
パンフレットは「童話」を意識した作りになっていて、遊び心のある
構成だなぁ、というのが正直な感想です。

さて、内容は少しネタバレするのでご注意を。




この映画はとにかく「現実」と「非現実」が絶えず行き来します。
主人公の少女は「妖精」を信じていて、ある種世の中の残酷さを
まだ知らない状態です。
回りの大人はと言えば、「その歳になってまだこんな本を」みたいな具合に
年齢相応の内容や行動を求めています。
しかし少女はすぐに大人へとなるわけもなく、幼稚な要素をいくつも残しながら
物語が着々と進んでいきます。

さて、この映画はどういった人に楽しんでもらえるでしょうか?
思うに、この映画は娯楽映画ではありません。

娯楽映画の図式が「映画 → 観客」ならば
パンズラビリンスは「観客 → 映画」でなければ楽しめません。
映画を見ている間「何故?」を自分なりに考えられる事がこの映画を楽しむ
一つの行動になります。
「何故?」で止まるような方にはお勧めできません。
特に少女の精神面を考え、心理学的に読み解こうと思うと非常に楽しめるかと
個人的には思っていたりするんですよ。

例えば公式サイトで公開されている、手のひらに目があるやつ。
「何故」手のひらに目が無ければいけないのか、という事を、
少女時期の精神から考えていくと面白いんじゃないですかな。
自分は

手 = 掴む・捕らえる
目 = 現実・真実を認識する

と定義し

目に手 = 現実を直視する(直視させる、直視することから逃れられない)

とするならば、この怪物は大人であり、子供たちの無垢な精神から
大人へと変貌したときのイメージである、と捉えることも出来ます。

彼は子供を食べるのが好きですから、いわば大人が子供に対して
一種の憧れを持っている状態と考えられます。
大人から見て子供は遊んでいるだけでいい、みたいな状態も
少なからずあるので、色々な制限をされている大人にとっては
さぞうらやましく見える部分もあるでしょう。
しかし、子供も大人に成らなければいけません。
大人は子供に対して「大人の世界」を教えます。
その中で子供の可能性を削り取ってしまうかもしれません。
その行為を暴力的に捕らえ、形にしたのが、この映画の怪物、
と捕らえると、映画の見方が少し変わるかもしれませんよ。
大人が子供を殺す、という図はとても興味深いです。

というように、「タダ気持ち悪い」ではなく、何故その気持ち悪さを
しなければいけなかったのか、と考えていくことによって
少女の心理状態、現実との溝を浮き上がらせることができます。
考察しながら見ていく映画において、次第に少女の世界と
大人の住む現実世界との溝が明らかになっていくことで
映像の影や台詞がより色を持った形で届いてくるはずです。

なので、この映画を両手放しに薦めません。
これは「エコール」の時と同じように、一般向けでは無いからです。
あまりにも「大人には」物足りず、純粋すぎ、単純すぎるストーリーは
味気ないものと評価されてしまうでしょう。

しかし、これは映画という舞台で行う考察ゲームです。
「何故」の嵐を自分なりに解釈し、味付けをして読み解く映画です。
座っているだけで楽しめる部分と、自分で歩み寄ったときの差は
あまりにも大きな差があります。

この映画はカメラワークも綺麗なものが多く
一番盛り上がるであろう場面以外の、なんて事ない部分で
鳥肌が立ちます。とてつもない美しさに今も魅了されているところです。
単純に綺麗なものを見に来るだけでもいいんじゃないでしょうか。
(散々言っておいてなんですが)

ただ気をつけてもらいたいのは、この映画は
「現実」と「非現実」が交差していますので、綺麗なものだけを見ることは
絶対に出来ません。大人の汚さを目の当たりにすることが
この映画を「綺麗」と評価するには必要な要素になっているからです。
「非現実」を体験する中、必ず「現実」をつきつけられますので
その辺りはご理解いただかないと映画を楽しめません。


他にも書きたい事はありますが、あんまり書きすぎると酷いネタバレが
あるかもしれないのでこの辺りにしておきましょうか。

DVD出たら買います。

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